2008年11月 「乏しい中から」
マルコによる福音書 第12章44節
「レプタ二つの信仰」として知られる話があります。神殿に来た一人の《貧しいやもめ》。彼女が賽銭箱に入れたのは、当時の最小単位の硬貨二枚。それを見たイエス様が《この人は、乏しい中から自分の持っている物をすべて》捧げたと誉めたのです。
これは「精一杯をささげよう」という献金や奉仕の勧めにも聞こえます。でもイエス様が注目しているのは、この女性の「乏しさ」です。彼女は《貧しいやもめ》。夫を失ったがゆえにこうむった様々な不利益、物理的な貧しさ、そして精神的な苦しみ、それにがんじがらめになって身動きが取れない・・・。でも、そういう中から捧げられたひと欠片(かけら)だからこその貴さがあるわけです。
私たちは「乏しい」ことを、なかなかプラスに考えることができません。でも、乏しさとは、豊かさの逆ではないのです。むしろ、乏しい中に何かがきらめく、その一瞬をイエス様は見逃しません。このまなざしが、誰の上にも注がれているのです。