2009年11月 「涙と共に種を蒔く」

詩編 第126編5節

 秋は収穫の時、喜びの季節です。詩編126編にも、《喜びの歌と共に刈り入れる》農夫が《束ねた穂を背負い、喜びの歌をうたいながら帰ってくる》様子が描かれています。ただ、彼は《涙と共に種を蒔く人》、《種の袋を背負い、泣きながら出て行った人》でした。いったいこれは何の涙だったのでしょうか。

 じつは農作業の苦労ではありません。というのも、あの農夫は異国の地で奴隷となった《捕らわれ人》たちのことだからです。故郷を遠く離れ、辛く厳しい状況の中で、今日も種を蒔き、畑を耕し続ける。そんな仲間たちを想う応援歌が、この詩なのです。

 私たちの暮らしにもたくさんの涙があります。そんな私たちにも、詩人は言うのです―「涙の種蒔き」には必ず「喜びの刈り入れ」がある、と。

 ところで、あの農夫が帰って来たとき、出迎えた人たちは大喜びしたのではないでしょうか。彼のために祈っていた人たちです。あの《喜びの歌》は、けっして一人で歌うものではないのです。



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