2020年 9月「かそけき声は、いずこより 」

(列王記上 19章12節)  

  9月 の 標 語

 聖書が描く神様と言えば、天地万物の造り主、全知全能の義なる審判者、永遠にして絶対なる存在……と、その圧倒的な力強さが際立ちます。

 ところが、預言者エリヤが出会った神様はちょっと違いました。死を覚悟した人生最大の試練。そこに嵐が吹き荒れ、地震が起こり、火災まで重なった、その時です。
《静かにささやく声が聞こえた》と言うのです。

 街中なら雑踏にかき消されてしまうような小さな声。元気いっぱいで動き回っている時には、つい聞き逃してしまうほどのか細い声。それが、エリヤを救い、その人生を根本から変えてしまったというのです。

 私たちは、大きな声に耳をそばだて、わかりやすい言葉に引き寄せられがちです。ましてや試練の時ほど…。しかし本当に大切なことは、むしろ「幽(かそ)けき」ものの中に宿っているのかもしれません。姿形の定まらない沈黙、言葉にならない祈りの中に。

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